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割り箸で守る 日本の森林と林業の未来

今から25年ほど前、割り箸は森林破壊や環境破壊につながるとして、マイ箸ブームが起こりました。
学校給食から割り箸が消えてプラスチックの箸になったところもありますし、また、自治体挙げて、自分の箸を持ち歩く「マイ箸推進運動」を展開したところもありました。
バブル経済に警鐘を鳴らす目的もあったのかもしれません。しかし、ほんとうに割り箸は環境破壊の元凶だったのでしょうか。

環境ジャーナリストの田中淳夫さんによれば、日本で消費されている割り箸のおよそ9割は中国産だとか。中国における乱獲は大きな問題ではあるものの、伐採される木材のほとんどは、建材用が中心です。

割り箸の原材料は、1988年には輸入品が国産にとって代わりました。
その主なものは東南アジアの熱帯諸国産ですが、日本国内に割り箸の原材料として輸入されるのは、木材全体の1%にも満たないと指摘されています。
一方、日本国内における割り箸の生産は、どのようになっているでしょうか?
2007年のデータによると、わずか100軒ほどが、料亭や祝い事などで使われる高級割り箸に特化して生産しているに過ぎないのだそうです。もしかすると現在は、さらに少なくなっているかもしれません。

かつて日本の林業は、社会経済のしくみの中にしっかりと根を下ろしていました。しかし、安価な外材に押され、今や衰退の一途。後継者不足にも拍車がかかり危機的状況にあります。
日本では、割り箸は建築資材としては使われない端材や間伐材からつくられています。ですから、むしろ国産割り箸は森林破壊ではなく、むしろ環境保全の一翼を担ってきたといえます。
森林が健全に育つには、植林だけでなく下草刈りや定期的な間伐が欠かせません。間伐材を無駄なく使うことも、環境保全につながっているのです。

そんな国産割り箸の担い手が、福島県いわき市川部町にあります。
「磐城高箸」は、最高級の割り箸を造る工場です。工場は、東日本大震災により被災し、福島第一原発の事故により製品は出荷停止に。そのため一度は経営を断念しかけたといいます。しかし、ボランティアに勇気づけられ工場を再開。
その後、岩手・宮城・福島の被災3県の杉間伐材でつくられた「希望のかけ箸」が大きな話題を呼び、グッドデザイン賞をはじめ数々の賞を受賞しました。

いうまでもなく、お箸は料理を口に運ぶものですから、安全でなければなりません。とりわけ、子どもたちのためには安心できる品が求められています。ここで製造される割り箸は、放射線量測定検査を経た安心できるもの。被災地木材に対する安全性を心配する消費者の声に、真摯に応えています。その自信は、お食い初め用「おめでた箸」を製造販売していることからも伝わってきます。

気候変動のためか、年々台風や大雨が激しさを増し、各地では土砂崩れの被害も大きくなっています。
そんななか林業は、防災の観点からもその重要性が指摘され始めました。災害を起こすのは、手入れが行き届いていない人工林であることが多いからです。
気候変動による災害は、今後も増え続けることが予想されます。災害を食い止めるためにも、私たちは森林とどのような向き合い方をすべきなのか、考えなければなりません。
林業が立ちゆくような政策はもちろんのこと、消費者としては木材利用の実際を正しく理解し使っていくことが必要ではないでしょうか。

おめでた箸


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