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あまり知られていないトリチウムとは?何が問題?

福島原発福島第一原発の汚染水漏れは、次から次へとずさんな状況が発覚して目が離せません。
とりわけ1~4号機タービン建屋東側観測孔においてトリチウムおよびストロンチウムが高い値で検出されたことについては、誰もが不安が募らせていることでしょう。

中でもトリチウムは、あまり耳馴染みのない放射性物質だったのではないでしょうか。
東京電力のホームページを見ると、9/26地下観測孔(No.1-16)で採取されたトリチウムは43,000Bq/Lで、9/20採取分(No.2-6)200 Bq/Lのなんと215倍でした。
“観測箇所が増えたのだから当たり前だ”などと言ってはいられません。

トリチウムは水素の仲間で、中性子2個、陽子1個から成る水素の放射性同位体です。
水素は陽子1個のみで存在する安定した元素ですが、トリチウムは不安定でβ線(放射線の一種)を出しながら「放射性崩壊」をしていく核種です。

放射性同位体という言葉も、わかりにくいですね。
「同位体」とは、原子番号が同じでも質量の違う原子のことをいいます。つまり、原子核の陽子の数が同じで中性子の数が異なる原子を「放射性同位体」といいます。

トリチウムの物理的半減期は12.3年です。
β線はエネルギーが弱いと言われますが、「弱い」から「心配ない」というものではありません。

原発から環境中に放出されたトリチウムは、酸素と容易に結びつき、トリチウム水になります。
トリチウム水は光合成によって植物に蓄積され、海に流されたものは魚に取りこまれるだけでなく、蒸発し雲になれば、地表に雨となって降ってきます。
もちろん、食物として私たちの口に入れば内部被爆は免れません。

トリチウムの出すβ線が染色体異常を引き起こすことは、40年ほど前から指摘されてきました。
生物がトリチウムを取り入れ、たんぱく質、脂肪、糖などの有機物に結合すると、有機結合型トリチウム(OBT)になります。
怖いのは、トリチウム水を飲んだ場合の生物学的な半減期はおよそ10日なのに対し、有機結合型トリチウムとして魚や肉などを摂取した場合には、体内に30~45日滞留するといわれていることです。
その間、トリチウムはβ線を出し続け、DNAを破壊します。

さらに、トリチウム水の実効線量は、トリチウムガスの10000倍にもなるといわれているのです。
トリチウム自体はもともと自然界に存在しますが、量は極めて少ないものです。ところが、核実験や原子力発電所の増加とともに、トリチウムの量は年々増えています。

トリチウムは処理が難しく、お金がかかると言われています。
京都大学原子炉実験所の小出裕章さんは、その著書「原子力のウソ」(扶桑社新書刊)で、トリチウム水は同位体濃縮技術で濃縮し、水と分離することが可能だと言っています。
日本には柏崎刈羽原発にその施設がありますが、福島県の太平洋側から日本海に面した新潟県柏崎まで、大量の汚染水を運搬することは大変なことです。
これ以上の汚染拡大は、なんとしても止めなくてはなりません。

しかし、それ以上に驚くのは、これまで全国の原発から環境に放出されたトリチウム水の多いことです。
原子力施設運転管理年報の平成24年度版のP608に4.参考資料「放射性液体廃棄物中のトリチウムの年度別放出量」が掲載されています。
たとえば北海道の泊原発の2002年度の欄に「2.9E+13」とあります。
E+13は10の13乗のことです。
つまり泊原発では2002年度だけで、なんと29テラ(兆)Bqのトリチウムが放出されたことになります。

トリチウムに限りませんが、原子力のために地球は瀕死の重体であることは間違いありません。


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