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TPPでトクをするのは だれ?(1)「企業が国家を訴える?!」

最近、ニュースなどで話題のTPP。政府も各企業も、かなり乗り気のようです。
一方で、多くの農家からは反対の声が上がっています。
「海外から良いものが安く入ってきて、日本の良いものも海外に輸出できる」と期待する声がある一方、「農業だけでなく、日本の全ての産業が壊滅して、生活がいま以上に苦しくなる」という意見も多いTPP。
「日本がアメリカに支配されてしまう」と考える人も、少なくありません。
TPPとは、一体何なのでしょうか?誰がトクをするのでしょうか?

TPPとは簡単に言うと、「経済を自由化して、太平洋をとりまく国々がお互い貿易や投資をするときに、その妨げになるものをなくす」のが、目的の協定です。
「経済が自由化されるなら、いいんじゃないの?」「日本企業にだって、利益になるでしょう?」そんな気もしますが、事はそう単純ではなさそうです。

TPPと同様の協定が、すでに発効しています。
アメリカ、カナダ、メキシコによるNAFTA(北米自由協定)と、米韓FTAです。今年の1月には民主党の代表団が、アメリカ通商代表部のカトラー通商代表補から「TPPの内容を知るには、米韓FTAを参考にするように」と言われています。
これらの内容と、関係する国々でいま起きていることを見ると、「TPPに参加すると、どうなるのか?」が分かりそうです。

NAFTAにもFTAにも、「ISD条項」があります。
これは「投資家と国家の紛争を解決するための決まり」で、
「自由な投資と貿易の妨げとみなされたものは、訴えられる」ということです。
たとえそれが、国の法律や制度であっても。

実際に企業が、国を訴えるということが起きています。
NAFTAのもとでは、アメリカ企業がカナダ、メキシコ政府を訴える事例が31件起きており、うち26件で政府側が敗訴しています。逆にカナダ、メキシコ企業もアメリカ政府を訴えていますが、15件全て退けられています。
敗訴した件でカナダ、メキシコ政府は、莫大な賠償金をアメリカ企業に支払っているのです。

ISD条項による訴訟は、世界銀行の仲裁センターが審理します。
しかし、内容は非公開です。審理官にマイノリティはおらず、さらに一審制のため、一度決まった裁定を覆すことはできません。
なんだか、不公平な感じがしますね。

さらに米韓FTAには、「非違反提訴」という制度もあります。
文字通り、「違反していなくても訴えられる」わけです。
もしアメリカ企業が韓国で利益を得られなかった場合、たとえ韓国がFTAに違反していなくても、アメリカ政府がアメリカ企業を代理して、韓国政府を訴えることが可能です。
自由貿易、自由競争のはずなのに?

つまり今後TPPを受け入れた場合、アメリカ企業に日本政府が訴えられる、あるいはアメリカ政府が日本政府を訴えるということが、ありえるのです。
敗訴したら、国民の税金が賠償金として、アメリカ企業に持ってゆかれます。

(後編へ続く)

裁判

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